2019年9月22日(日)
ダラット市内を散策。
くもり時々雨。

ベトナムで泊った中で最もオシャな宿にいる。併設のカフェバーで朝ごはん。ホンダやBMWのオールドバイクが飾られていて、暖炉の横には巨大なスピーカー。一体何なんだこの宿は。しかもこれで1泊100,000ドンってスゴイ。ドミトリィだけどオフシーズンだから部屋を独り占め。

今日はバイクを借りて郊外のコーヒー農場を目指す。ホンダのWAVE110Sっていうアジアンカブで1日100,000ドン。念願のアジアンカブ。駆動系はカブそのものだけど見た目がスクーターライクというアジアらしいバイクだ。エンジンスタート。速攻でストール。チョーク引いて再スタート。少し吹かして暖気、ゆっくり発進。足元からジャラジャラとチェーンを引きずる音がする。ブレーキをチェック。うーん効きが甘い。よく見るとスピードメーターが動いていない。日本だったら完全アウトだけど、ここはベトナム。細かいことは気にしない。

人ってスゴイなと思うのは、右側通行に慣れてないはずなのに一瞬で順応できてしまうこと。縦横無尽にバイクが絡み合う交差点の通過も、ラウンドアバウトの合流と離脱も、ノロノロと一家3人で移動するバイクの追い越しも体が自然に対応できている。坂道ではギアを1つダウン。2速で引っ張って3速に乗せる。平地では4速巡行。ボコボコの道ではステップの上でスタンディング。110ccのエンジンは軽やかに回るけどエキゾーストパイプの付け根から排気が漏れている。途中で給油。英語が通じないけど満タンにしてくれという気持ちは伝わったようだ。2.5リットルくらい入れて45,000ドン、ってことは大体リッター100円以下か。ダラットは起伏の街だ。坂を上っては下って、また上る。街を出ると峠道に入り、山を越えると小さな村を通過する。真っ黒な黒煙を出しながらガチャガチャ走るトラックを追い越す。現地民に倣ってクラクションを鳴らしながら。片道20kmのショートツーリング。やっぱりミニバイクはギアをガチャガチャできるやつが楽しい。カブやバーディであちこち走り回った記憶が蘇る。また欲しいなと思った。

郊外のコーヒー農場に到着。辺り一面の山肌が全部コーヒーの木。この農場では収穫した実をジャコウネコに食べさせて、その糞を乾燥させて焙煎するという希少な豆を生産している。コピルアクとかいう種類。日本で飲もうと思ったらべらぼうに高いらしい。そんなコーヒーを農場の景色を見ながら飲めるらしいんだけど、それならまずは表敬訪問しなきゃねってことで場所を聞いて見に行く。ケージに入れられたジャコウネコ。餌のトレーには収穫したばかりの真っ赤なコーヒーの実。ボソボソと実を食べてはポロポロとウンコする。一回食べさせて、腸の中で発酵させることで芳醇な味わいを作り出すんだという。良くこんなこと考えたよなぁ。何でジャコウネコなんだろう。ジャコウネコってネコっていうくらいだから猫なんだと思っていたら、実際はハクビシンとかイタチとかそっち系の顔だった。ケージを後にして満を持してコーヒー。コピルアク1杯80,000ドン。そこら辺のカフェに比べるとめちゃめちゃ高いけど、日本で飲んだら1杯ウン千円することを考えたら破格。ストレートで一口飲んで濃さに負ける。好みの濃さにお湯で割って飲めという。痺れるような風味。これがウンコから作られたコーヒーかぁ。世界にはこんな味のコーヒーがあるんだなぁ。ウンココーヒー。貴重なウンココーヒー。もう一度ジャコウネコのケージを見に行く。相変わらずモサモサと実を食べてはポトポトとウンコしている。このウンコから出来たコーヒーを飲んだのか。ウンコだわ。やっぱりウンコだわ。美味しかったよ君のウンコ。

コーヒー農場の一角にインスタ映え的なスポットが設けられていたので見に行く。虹色のフロアに虹色のパラソル。観光客たちがセルフィーしている。曇天模様が少し残念。カップルに写真を頼まれたので撮ってやる。すると横にいた集団からも頼まれる。あなたカメラマン?いやただの旅行客だよ。なんでカメラ2台も持ってるの?えーと、あれかな、趣味かな。一緒に写真を撮って、連絡先を交換。この場所まだペンキ塗ったばかりなのか、歩く度にサンダルが床にへばりつく。

せっかくバイクあるからもうちょっとどこか行こうと思い、街を挟んだ反対側の郊外にあるダラット駅を訪ねることに。フランス統治時代に建設されたクリーム色の駅舎。昔は海沿いのタップチャムとダラットを結ぶ鉄道の終着駅だったがベトナム戦争を契機に廃止。そのまま路線は復活しなかったけど、駅は大切に保存されている。プラットホームには戦時中に中国を経由してやってきたC12機関車が置かれていて、みんな好き勝手によじ登ったりぶら下がったりしている。駅からはディーゼル機関車が牽引する観光列車が隣町まで走っていると聞いたので、チケットを購入。時間までコーヒー休憩。

機関車に引かれてノスタルジックな客車はゴロゴロと走る。線路沿いに広がる生活空間と、花を栽培する広大な農地。山肌を埋め尽くすビニールハウス。線路脇は現地民の生活道路だ。機関車が頻繁にピーピーと汽笛を鳴らす。車掌さんがベトナム語で何か話しかけてくる。チケットのチェックかと思いきや違うらしい。スマホで何か打って見せられる。終点には40分停車するから時間までに戻ってこいとGoogle翻訳が教えてくれた。

あっという間に終点に到着。駅から出て、街並みを撮って、道端でバインミー。乗客の大半は片道乗車だったようで帰りの列車は自分と、韓国人カップルの3人だけ。スカスカになった客車を引いて、機関車はゴロゴロと来た道を戻っていく。行って帰って1時間半のノスタルジィ。ベトナム統一鉄道に乗れなかった燃焼不良を観光列車でカバー。宿に戻ってビール。ダラットにもう1泊することに決めた。