2019年9月23日(月)
ダラット市内を散策。
くもりのち雨。

朝、ゆっくり起きて朝ごはんとコーヒー。ベトナムのブラックのコーヒーは全体的に濃いめなので朝から心臓がバクバクする。店によっては薄める用のお湯を出してくれるところもあるけど、出す出さないの差は何だろう。そもそもブラックのまま飲んでいる人がそんなにいない。みんなオシャな見た目のコーヒーを飲んでいる。あれは何だ。昨日、コーヒー農場で仲良くなったホーチミン出身の若者たちの1人から連絡が来て、帰国前に時間があるならコーヒーでも飲もうと誘ってくれた。ホーチミン最終日は特に何も予定を決めておらず、クチツアーに参加して銃でも撃ってくるかなァと考えていたところだったので、ありがたくお誘いを受けることに。

今日は徒歩で市街地を散策。とりあえず街の中心にある市場へ向かう。いくつもの棟が繋がった巨大な屋内市場。高い天井を持つ建物の中には細かいブースがビッシリ並んでいて、それぞれエリアごとに野菜、果物、穀物、加工食品、お菓子、肉や魚、花、服、靴、カバン、貴金属、電化製品、医療品、怪しげな根っこなどを取り扱う商店が集まっている。生活に必要なものは大抵揃ってしまいそうな巨大な複合市場だ。それぞれの棟は通路で連結されているけれど建設されたタイミングが違うのか、階の高さがバラバラ。ちょっとした迷路のような構造になっていて探検が楽しい。売り子のオバチャンたちが、あいつまた写真撮ってるよーみたいな顔でこちらを見てくる。けど特にガーガー言うわけでもなくそっとしておいてくれるのが本当にありがたい。せっかくだし何か買いたいなと思ったけど、日本に気軽に持って帰れそうなものって意外とないんだよなぁ。と、外から猛烈な雷の音。直後に土砂降りの雨。あちゃーこれじゃあ外に出られない。仕方がないので薄暗い食堂エリアでコムタムをむさぼる。

一番古い見た目の棟はちょっとだけサイバーパンク感がある。天井は高いけどロクな照明がなくて、売り場の壁に括り付けた無数のLEDライトで手元を照らすせいか全体的に雰囲気が青っぽい。通る場所がないくらいに積み上げられた商品の隙間で店の主人がゴソゴソと作業をしている風景は、見渡す限りローテクノロジィの集合体であるにも関わらずクールな印象を覚えた。細い通路を編笠を被った客が通り抜けていく感じも良い。ポンチョと編笠のコーディネート。

別の棟にある肉や魚を扱うエリアに足を踏み入れる。ここ、かなり強烈で、肉や魚をその場で加工して売っているようだ。例えば鶏肉は、生きた状態の鳥がカゴに放り込まれている。客がこれちょうだいと言うと、その場で文字通り「処理」される。既に処理済みの鳥やヤギ?なども売られているが、羽や皮を引っぺがしただけの状態で積まれているので、生前の姿がすぐに想像できてしまう。魚についても同じような感じで、タライに泳がされた魚をちょうだいと言えば、その場でさばいてくれるようだ。ウナギやカエルも売られているし、タライにビッシリとぶち込まれた蟹がモゾモゾと動いている様子は結構怖かった。これぞ市場。ミャンマーの市場もこんな感じだった。日本において、我々のような一般消費者が市場と呼ばれる場所に足を踏み入れる機会はそうそうない。市場と言う名前の場所があったとしても、それは限りなくスーパーマーケットに近い存在だ。本来の市場とは、きっとこういう場所のことを言うんだろうな。素材を、顧客が欲しい形に加工して提供したり、必要なものを必要な分量だけ手に入れられる場所。新鮮な状態とはすなわち加工の直前まで生きている状態だろうし、野菜や果物にしても収穫したものをそのまま持ってきて並べるわけで、パッキングなんてまずしない。我々にとっての卸売市場みたいな場所が、ここでは現地民たちの台所を支えているんだなと思った。

携行していたフィルムが尽きそうだったので、いったん宿に戻って補充しようと思った。けど相変わらずの土砂降り。小雨になったタイミングで飛び出したは良いけれど、すぐまた本降りに逆戻り。しょうがないので近くのカフェに避難してコーヒーを飲む。これがまた濃くて、お湯で割ってもまだ心臓がバクつくような強さだった。何とか雨の合間を見て宿に戻ったは良いけど雨が止まないので外に出られない。だいたいいつもはザーッと降ってパタリと止むんだけど、今日は延々と降り続けている。ビール飲んで時間潰しているうちに夕方になってしまった。

夜、再び市場まで行く。夜になると市場の周りに大量の屋台が集まってきて食い物から野菜から服まで何でも売る。この人たちは市場に店を構える人たちなのか?それとも夜専門の人たちなのか?道路の両サイドが屋台で埋め尽くされている。薄暗いLEDライトに照らされて、積まれたドリアンがギラギラと存在感を放っている。串焼きの屋台がプラ椅子を並べて夕食を提供する。行商人たちがサングラスや自撮り棒を売り歩く。まるでダラット中から人が集まってきたような熱気に包まれていた。昼はのんびりとした雰囲気の街なのに、夜になるとギラギラする。何だろこの街、すごく面白い。