関東に来て6年目の春。トーキョーレインボープライドというイベントが毎年開催されているってことを初めて知った。TRPって何?簡単に言えばLGBTQ+とAllyによるみんなに向けた楽しいイベント?むかーしベルリンで同じようなイベントにたまたま紛れ込んだことがあって、それがまたえらく楽しかったことを思い出して、よしじゃあ行ってみようってなった。
人が凄かった。もう本当に凄い人だった。LGBTQ+と呼ばれる人たちが性的マイノリティと言われているなら、今日は自分がマイノリティだ。あちこちではためくレインボーフラッグ。プラカードを掲げて歩く人たち。スタッフの人に話を聞いたら、今日のパレードは1万人規模だという。青空の下にカラフルな旗が映える。晴れた東京の空の下で、知らない人たちとハイタッチ。気づいたら左手が真っ赤になってた。右手はカメラ持ってたから無事。
そもそもLGBTQ+って何だ。ちょっと前まではLGBTだけだったじゃん。もっと前はレズ・ゲイ・ホモって言葉しか知らなかった。女は男に恋をして、男は女を好きになる。もうそういう時代は終わったんだきっと。ドイツに住んでた時、おっさん2人が手を繋いでチューしてるのを見て、やっぱヨーロッパは違うなって思った。きっとこれからは日本でもそういう光景が当たり前になる。
自分は自分のことをただの男だと思っている。ただの、フツーの、ただの男。よく周りからは中性的だと言われるけれど、その意味が自分には良く分かっていなかったりする。そんな私が思うのは、LGBTQ+とか性的マイノリティって言葉に何かこう違和感を感じるってこと。そんなカテゴライズって必要なのかなって思ってしまう。良い奴は良い奴だし、嫌な奴は嫌な奴。この人のことが好きだから時間を使おうと思う一方で、こいつとは馬が合わないから関わらないでおこうと思う。そんな自分の判断基準に相手の立ち位置は関係ないし、立ち位置を気にしていたら何もできなくなる。
とは言っても、それは自分の性とか在り方とか人との関わり方とかカミングアウトしたいけど言えない何かってものについて、真面目に考えたことがないから言えることだ。当事者だから分かることは沢山あるし、当事者にしか持てない感情って沢山ある。だったら自分は自分の判断基準を適度に持って、相手と向き合うことを大事にするしかない。支援するなんて言いたくない。貴様は何様だって思ってしまう。ただ好きな人を大事にしたい。楽しい時間を共有したい。個人のことなら、それで良いじゃない。
だから今回のTRP2019は、クソ真面目な考えを抜きにして楽しい空気を吸えたのが幸せだった。ただの男だからお断りなんて言われたら悲しいやん。以前はもっとクローズドなイベントだったのかも知れない。それをここまでオープンなイベントに発展させたのは、関係者の血と汗と涙の結晶だ。世間は色んな捉え方をするだろうけど、私はGWらしい良いイベントだと思った。
たぶん、世間的にはLGBTQ+とか性的マイノリティって言葉を使うのにまだまだ慎重な一面があると思う。腫れ物に触るような、気を遣って扱わなきゃいけないような、そんな感じ。でもその「中にいる人たち」と友達になれば、そんなことは全然気にならなくなる。誰しもが心の奥底に何かしらのコンプレックスを抱えているように、マジョリティだと思っていてもマイノリティな部分は誰しもが持っている。だったら全員マイノリティじゃん。青空の下にカラフルな旗がはためていている。晴れた東京の空の下で、知らない人たちとハイタッチ。ただそれだけで楽しい1日が過ごせた。そんなTRP2019の思い出。