ダイアリィズ イン ミャンマー(6)

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2018年9月19日(水)
バガン市内を散策。
曇りときどき土砂降り。

朝起きて、宿が用意してくれた朝食を食べて、コーヒー飲んでから今日も電動バイクで出発。バガンが一望できるというビューイングタワーに行ったら俺が一人目の客だったようで中は真っ暗。エレベーターのブレーカーも落とされていた。チケット売りのオバチャンがどこかに電話して、ちょっと待っててネーまだだネーまだ来ないネー。しばらく待ってると明かりが灯った。ビューイングタワーからの眺めはなかなかのもので、バゴダの乱立っぷりが良く分かる。地図を見ながら大体の位置関係を把握して、とりあえずミンナントゥ村を目指すことにした。

地球の歩き方に書いてあるインフォメーションを参考にいくつかバゴダに立ち寄ってみる。だいたいどこへ行っても土産物売りのオッサンに捕まるが、バゴダに造詣が深く色々教えてくれるので憎めない。ナンダマナンニャ寺院の「マーラの誘惑」の壁画はマーラの誘惑っぷりが凄まじかった。あの誘惑に耐えた仏陀えらい。たいてい仏塔の横には修行僧の修行小屋みたいなものがあるのだけれど、ここは地下の洞窟にそれがある。地元の人たちに挨拶して中へ。暗くて狭い坑道の所々にベッドが設置されていた。パヤートンズー寺院群はバゴダが3つ連結されており珍しい外観。中の仏陀も3体あって、それぞれ建立された時代が違うため造形も異なる。一番古いものは一番右で、中央と左は後世に作り直されたもの。面白いのが、仏教寺院なのに中にヒンドゥー教のシヴァ神が描かれていたり、モンゴル侵略期にモンゴル人が描き足した部分があること。長い時代を経て、色々なものが継ぎ足されたり補われたりしながら今の世代にバゴダは引き継がれているのである。

ここで雨。ミンナントゥ村の食堂までバイクで一気に走る。本降り。割と全身濡れたけどギリセーフ。カレーを食べながら店の人と何処から来たのー日本?この時期に珍しいネー学生さんかい?え、違うの?兄さんえらい若く見えるネーなどという何回繰り返したか分からない会話をする。こちらから頼む前に良かったら村の中を見ていくかい?と言ってくれたので是非とも!と食らいついた。雨も上がったしちょうど良いタイミング。

キッチンの奥から出てきた派手なワンピースの若い女の子が案内してくれるというので、いざ村の中へ。綿から糸を作って布に仕上げる手工場や、竹を編んで作る漆塗りの器の工房を見ているうちに再び豪雨。今日は雨が多い。傘をさして村の中をプラプラ。川みたいになった路地をザブザブ。雨の中でフィルムで撮った彼女はちゃんと撮れてるだろうか。本当かどうか分からないけど村で作った生地を使ったというロンヂーが並べられていたので1枚買った。メンズとレディースで微妙に柄が違って、メンズは縦横のチェック柄、レディースはボーダー。一番気に入った色がレディースだったけど、まぁ日本に帰れば誰も分からんし良いでしょということでそれにした。だってメンズ柄は地味で暗いんだもん。

女の子に礼を言ってチップ3000チャットを渡してから食堂に戻ってコーヒー。村に行く前から暇そうにしていたオッサンとダラダラ話す。再婚した嫁の束縛が凄くてさーみたいな愚痴をずっと聞いていたら2時間くらい経ってた。彼の仕事はガイド。道理で英語が達者なわけだ。ミャンマーの若者のスマホ中毒っぷり、昔の政権のこと、ヤンゴンのカオス、そしてロヒンギャ。彼の言葉で色々なことを語ってくれた。バガンの葉巻を吸ったことはあるかい?と聞かれたので、チャレンジしてみることに。まずフィルターを水に漬ける。それからライターにぶつけてフィルターを固めてからスパスパ吸う。最初は葉っぱの味しかしなかったけど、そこから甘くて優しい味がした。

雨は上がった。いったん宿に戻る。スタッフの女の子に明日マンダレーに行く旨を伝えると、バスのチケット手配しようか?と言ってくれた。自分で買いに行こうと思っていたけどお願いした。朝8:00出発で宿の前まで迎えに来てくれる。9000チャット。

再びバイクでミャンウーに行って、街歩きしながらスナップ。マーケットでは若い女の子たちがキャイキャイ言いながら足漕ぎミシンを踏んでいる。道端でフィルムを入れ替えているとアンタ日本人か?と声を掛けられる。ゲストハウスのオーナーのオッサンで、俺の宿はチキューノアルキカタにも乗ってるんだぜ~と自慢げ。彼の宿にお邪魔してコーヒーをご馳走になる。彼は軍政の頃から独学で日本語を勉強していたんだって。

再び雨。近くの食堂に避難。夕飯を食べて、スマホでマンダレーからヤンゴンまでの航空券を手配し終えてもまだ止まない。止まない。ずっと止まない。ボーッと外を眺めていると、店のオバチャンが宿に電話してやるから電話番号を見せろという。優しさに震えつつお願いすると、宿のピックアップトラックが迎えに来てくれて、バイクも拾ってくれるという。なんて国だ。なんて人たちだ。旅人がこの国で苦労するのを知っているから、俺たちは旅人に優しくするんだ。俺たちはそうやって教わってきたんだ。何てカッコイイことを言うんだ。どうやったらそんなことをスラスラと言えるんだ。後部座席で色んな思いを噛みしめた。