ダイアリィズ イン ミャンマー(3)

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2018年9月17日(月)
ヤンゴン市内を散策。
晴れ。

ミャンマー3日目。起きてベッドから這い出る。南アのヘイメーンのイビキが聞こえる。シャワーを浴びて、荷物を全部バックパックに押し込んでチェックアウトの準備。夕方まで荷物を置かせてもらおうかとも思ったが、結局持ち歩くことにした。香港人の彼には会えなかった。宿を出る時にヘイメーンが起きてきたので、英語教師のインビテーションが見つかったらfacebookで連絡するよ、また会おうと伝えた。

月曜日。ミャンマーに来て最初の平日。とはいえ街の様子は昨日と代り映えしない。それは日曜と同じくらい道路は渋滞しているし、人もたくさん歩いているし、仕事中と思えない人たちがたくさんいるということ。コーヒーを飲みたいと思った。朝食はパンが良いなと思った。スーレーパヤーの近くにドーナツ屋があるのを昨日見たから、そこに行ってみよう。

ドーナツ屋の中は相変わらずクーラーがガンガンに効いていて、店員の若い女の子がカウンターでダラダラと暇そうにしている。外国人の俺を見るとキュッと姿勢を正すのがキュート。あんまり美味そうじゃない見た目のドーナツを適当に選んで、コーヒーも注文。砂糖いる?いやいらない、ミルクもいらない、ブラックでお願いー。コーヒーは薄かった。ドーナツは甘かったけどちょっとホッとした。店内にいるのはオッサンばかり。オッサンたちもドーナツをモシャモシャと頬張っている。

市庁舎の脇を抜けて、関税を横目に埠頭方面へ。大通りに掛かる歩道橋を渡る。歩道橋の上では何かを待っているのか、ただ時間を潰しているのか、たくさんの人たちが地べたに座り込んでボーっと道路の方を見ている。船着き場の方へ行くと通路の脇に露店が並んでいて色とりどりのフルーツが売られている。チャレンジしてみたかったけど、今買ってもなぁという感じなので見送る。船着き場にちょうどフェリーが到着したようで、大勢の人たちが押し寄せてくる。フェリーに乗ればヤンゴン川の対岸に渡れるそうだが、バックパックが邪魔なので最後に再びヤンゴンに戻ったら行ってみようと思った。

ヤンゴンの街の中を歩いていると、割としょっちゅう同い年くらいの若い男に声を掛けられる。彼らは並んでついて歩き、まず最初にハゥアーユー。それからどこから来たの?と聞いてくる。どこから来たと思う?と聞き返してみると、一発で日本と当てる奴もいれば、シンガポールと答える奴もいる。一応正直に答えを言ってやる。そうすると自分の名前を言い、俺の名前を聞いてくる。答えると握手。そして決まって、どれくらいミャンマーにいるんだ?これからどこに行くんだ?スーレーパヤーは行ったか?マーケットは?スネークパヤーは?案内するよ、いいから案内するよ、俺はガイドじゃないから安心しなよ、なぁ良いだろマイフレンド。だんだん面倒くさくなる。せっかくだけどいらない、ひとりで歩きたいんだ写真をスナップしてんだ、ありがとうでももういいよ、じゃ、バイバイ!最初はやんわり、ちょっとずつ強めに断る。そうすると最後にたいてい、オンナは?ドゥーユーライクオンナ?と聞いてくるので、女は好きだが今はいらない!じゃ!って言って別れる。その繰り返し。外国人に声を掛ける時はこうしろと教わったかのように、みんな同じように声を掛けてくる。付いて行ったら謎のガイド料を取られるに決まってる。本当に面白そうな奴がいたら付いていくのも面白いが、今日はそう思える奴には出会わなかった。これが立て続けに続くと、面倒くさいオーラが隠せなくなる。

夕方にバガン行きの列車に乗るので、だいぶ早いけど駅の方へ向かい始める。ヤンゴンの街は結構広い。写真を撮りながらプラプラ歩く。目の前でオッサンが真っ赤な噛み煙草の唾を吐く。キンマと呼ばれるミャンマーの噛み煙草で、謎の葉っぱに石灰を塗りたくったもの。噛むと口の中が真っ赤になる。その唾を道端に吐く。だから血反吐を吐いた痕のようなシミがそこら中にできている。あれを試すのはちょっと勇気がいるなぁ。それと老若男女みんな痰を吐く。カーッペッ。カーーーッペッ。どこからともなく聞こえるカーッペッ。若い女の子もカーッペッ。俺はあのカーッが苦手。

さすがに暑いので、ビール飲んで時間を潰すことにしよう。ヤンゴン駅近くのバーに入る。缶ビールを注文。900チャット。野良猫が床で遊んでいる。それを撮っていると、前のテーブルにいた若い男がこっちに来た。既に小さなウィスキーを1本空にしている。障害があって話せないようで、手話のような何かでコミュニケーションを図ろうとしてくるが何を言いたいのかちっとも分からない。何度も何度も、自分と、空瓶とを交互に指さして、それから両手でバツを作る。あるいは首を振る。もしかしたら彼はヒンドゥーかイスラム教徒で、酒を飲んでるってことを誰にも言わないでくれって言いたいのかもしれない。チクる相手なんてどこにもいないよ、と思いつつ、彼を指し、瓶を指し、鼻のところに指を持って行ってシーッ。ようやく意味が伝わった!というような顔をして、大喜びする彼。いまいちその解釈で合っているのか釈然としないが、とりあえずニッコリする。それから色々と会話。話さない会話。言葉を発するのは俺だけ。だんだん相手が言いたいことが分かるようになってくる。君は小さい缶ビールに900チャット払っただろ?本当は大きい缶ビールが900チャットなんだ、君が外国人だからそういうことをするんだ。俺はそういうことが嫌いなんだ!といって店の若い男の子を捕まえて抗議の意を示そうとするが、彼もまた状況が分かっていない様子。はす向かいのテーブルで酒を飲んでいたインド系のオジサンが、君らの友情はグッドだと言った。写真を撮ろうとしたら、彼もまた酒は一緒に写さないでくれたまえと言った。

結局2時間くらいバーにいて、列車の出発1時間前になった。手話の彼に別れを告げて、facebook交換して駅に向かう。ヤンゴン駅は古くて大きな西洋建築。だけどアジアンな装飾。外壁の所々から木が生えている。これから列車に乗って、18時間後にはバガンにいる予定。