見渡す限りのこの世界に、もしも誰ひとりとして姿が見えないとしたら、それは寂しいことだろうか。嬉しいことだろうか。耐えがたきことだろうか。
見渡す限りのこの世界に、自分と、相手と、ただそれだけしかいないとしたら、それは幸せなことだろうか、落ち込むべきことだろうか、喜ぶべきことだろうか。
誰かがいるから自分がいる。そんなことを誰かが言ってたっけ。人と比べることができて初めて、自分は自分というものを正しく認識できるという話をどこかで聞いた気がする。色んなものの答えは自分の中ではなくて相手の側にあるのであって、自分で勝手に正しいと思っていることは、それは単なる自分勝手だと。
めんどくせぇな、自分は自分だろ、自分を理解できるのは、結局自分だけだ。そんなことを思った。
けど、身を置く環境を変えてみたり、付き合う相手を変えてみたりすると、理解していたはずの自分というものが急に分からなくなってしまう瞬間があって、そういう時にさっきの言葉を思い出して、色々なことを飲み込めないまま分かったような気になったりすることもある。
やがてスコールは降りやんで、鳥たちはまた飛んだ。うっすいビールを飲み干して、鳥たちはまた飛んだ。
まぁ良いや。