撮った写真を作品として仕上げる段階になると、無意識のうちに時系列に沿って並べてしまう。
撮った写真は自分の記憶であり、思い出であり、1枚1枚に自分なりのプロセス=順序があるからだ。
しかしどうだろう、もしかしたら、見る側からしてみれば時系列なんてものはそこまで大切なものでないのかも知れない。
大切なのは物語であり、目の前に並ぶ一連の写真からどういうストーリーが連想できるかってことだと思う。
だとしたら、自分が大切にしていた時系列ってものに価値があるのか分からなくなる。
クロノグラフ。
針がクルクルと回りながら時を刻み、1周してまた戻っては再び時を刻む。
デジタルカメラで何千枚も写真を撮ると、ファイル名が振り出しに戻るように。
10万キロを走ったバイクのオドメーターが000000に戻るように。
写真群の時系列を上書きすることで、自分の記憶の再編集を図る。