あれから結構な月日が流れて、九州・四国を旅した時間はもはや思い出の中のひとつの点と化している。
鹿児島から熊本、大分、愛媛、高知、香川、徳島へと移動した日々の時系列は崩れ去り、ただ漠然と、床に散りばめたプリントのように目に焼き付いた光景だけが思い出される。
あのあと内之浦からは何基ものロケットが打ち上げられ、彼らは今この瞬間も軌道上を漂っていることだろう。
熊本を震源とする大きな地震は僕が通った橋や道を破壊し、街に大きなダメージを刻んだ。
河原町繊維問屋街のOut of step cafeで知り合ったジェイに勧められて、ポルポト弾圧前に活躍したカンボジアンロックンローラー達のCDを持って帰ってきた。
ヘニャヘニャとした民族系脱力系ロックンロールを聞きながら、今日も僕はあの日の記憶の中で旅を続ける。