10年以上前にオモチャのキーボードで録音した音源に、街中でサンプリングした環境音を重ねたのが8年前。そのまま放置しっぱなしだったので、ちょっと前に録った東京の環境音をさらに重ねて新しい音源を作ってみた。
当時使っていたのはSA-45というCASIOのキーボードで、「ジャスコのオモチャ売り場で売られてる感じ」のちっちゃくて、チープで、この音色はどういう時に使うんだ?というプリセットしか用意されていないようなモノ。ジャスコのオモチャ売り場で売られてる感じ、って表現、伝わるかな?伝わらないだろうなぁ、そうだよなぁ。
学生時代、バンドサークルでぐだぐだしてた頃は、このキーボードにKORGのエレクトライブだとかギターのエフェクタなんかを無理やり繋げて、音の原型が分からなくなるまで加工して奏でるみたいなことにハマっていた。周りの同世代がそうだったように、当然ぼくだってBUMP OF CHICKENとかそういう系が好きだった。けど、どれだけ頑張ったって彼らみたいに歌ったり演奏したりできないんだって分かった頃から、急に奏でる音に自分らしさを求めたくなった。
そんな時、たまたま見つけて買ったのがSA-45。たぶん2,000円くらいで売られてて、何も考えずに買ったんだと思う。単体だとショボい音しか出なかったけど、エフェクタに繋げると意外にも良い感じの音が鳴った。チャンネルミキサに繋いでループ、エフェクトを反芻。ドの音がドだと分からないくらいまで破壊して、ディレイでボカす。そんな訳分からんことをしていた頃の機材。
ある時、何を思ったのか、アクリル絵の具で全塗装した。プリセットのひとつに「オリエント」という使いどころに迷う感じの音色が用意されていて、それがまた間抜けで笑える感じの音だったので、このキーボードを「オリエントさん」と呼ぶようになった。
卒業前にはバーディー90にくくり付けて岐阜から広島までライブしに行った。社会人になっても何だかんだ手元にあって、もう3回も引越しのトラックに乗せた。けど社会人になってからは一度も箱から出すことなく時が過ぎて、先日ふと思い出して箱から出してみたら、電池がドロドロに溶けてしまっていた。音も鳴らなかった。
昔の色んな記憶がフラッシュバックして、オリエントさんで作った音源を久しぶりに聞いてみた。なんだか、忘れてた色んな記憶とか感性を一気に思い出して、懐かしくなって、ちょっと寂しくもなって、とりあえずZOOM H1nで撮った最近の音を重ねてみた。10年以上前に録音した音源に、街中でサンプリングした環境音を重ねたのが8年前。その音源にここ2週間くらいの環境音をさらに重ねて、新しい音源を作った。改めまして、初めまして、東亞音響製作所。
あとは、同じくここ1か月くらいで撮った身近な映像とか、しばらく前に遊びに行った時に撮った映像なんかを強引に繋げて、ひとつの映像作品として仕上げ切ったのが、Re:Re:色彩コンデンサ。色んな息苦しさとか、不安とか不満とか希望とか彩りとかドロドロ感とかキラキラ感とか、そういう感情をいったん全部溜め込んで、いざ放出。